友原章典「移民の経済学」を読む

移民を受け入れると日本は何か変わってしまうのか。良い方向に変わるかもしれないが、悪い影響が出てしまうかもしれない。移民の多い国というと真っ先にアメリカが浮かぶのだけど、調べるとその数5100万人、人口の16%をしめている。言うまでもないけどアメリカは世界で一番経済的に豊かな国だ。けれど、極端な格差社会になっているし、人種的な対立もまだまだなくなっていない。移民の受け入れは得もあるけど損もある。そういった所だろうか。そんな得や損を分析していったのが「移民の経済学 雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか」だ。 日本が移民を受け入れる場合は人手不足の解消のために行われる。コンビニエンスストアや建設業の現場では既に多くの外国人を見かけていると思う。一見、元々人手不足の分野なのでメリットしかないようだけど、良いことだけではない。ある国では移民の作業員が増えると、元々の市民作業員の賃金が下がり、中には職を奪われ公的扶助を受けているというデータ出ている。これが看護師になると、市民の看護師は減り、将来看護師になる市民も減らしているが、全体の看護師数は増えている。移民が女性の社会進出をサポートするというのも高学歴、高所得の女性に限られるようだ。賃金が上がったり下がったり、サービスが安くなったり、職を奪い合ったりとメリットだけとは言えない。 気になるのは移民が増えると治安が悪くなるのか、だけどそのようなデータはない。あるとするなら移民の増加が直接的な問題ではなく恵まれない就労環境の影響なので、…

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長野まゆみ「野川」を読む

最近はあまり小説を読まなくなってしまった。理由の1つは読みたい作家がいないから。我儘で傲慢な言い分だとは思う。現在でも新人作家は日々登場し、作品も多く生み出されている。探せば私の琴線に触れるような小説に出会えるかもしれないけれど、宝探しのように読み漁り、至高の一冊に出会おうとする情熱は私にはない。それなら実用書だったり、鬼籍に入ってしまった文豪の作品を選んでしまう。 そのような感じであまり最近の作家の小説には縁がないのだけど、たまたま長野まゆみさんの「野川」が目に入った。正直、長野まゆみさんという方は知らないのだけど、野川というタイトルはとても気になる。武蔵野という土地を描写した作品は、武蔵野を撮る人間としては見逃せない。多摩川や荒川、入間川と比べると野川は地味だ。けれど、その素朴な印象が武蔵野らしいとも思える。 読み進めてみると、私が住んでいるのは武蔵野とはいえ埼玉の所沢なのでまるで馴染みがない。多摩川はよく撮りに行くけど野川周辺は歩いたことがないのだ。けれど、大岡昇平の「武蔵野夫人」に野川や国分寺崖線、ハケのことが書かれていたので何となく想像はつく。「野川」の小説内でも地名がタイトルなだけに、土地の描写が教科書的に語られている。主人公が成長していく、周りと交流していくストーリーより土地の印象のほうが強く残った。とはいえ、具体的にどこが舞台なのかは記されていない。国分寺なのか小金井なのか三鷹なのか。少し気になるけど、どうでもいいことだろう。武蔵野であり野川があることが大事なの…

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