林点描、季節は冬です

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▽触れるのを忘れていたけれど、すでに季節は冬だ。確かに寒くなってきたとはいえ、体感的にはまだ秋のような気がする。世間的にも秋なんだろうけど、ではいつ冬になるのか。12月になってさらに寒くなってきたらいつの間にか冬になっているのかもしれない。けど、日本でも北の方では雪が降り、積もっている。そんな地域に暮らしている人からすればすっかり冬という感じだろう。

11月7日から二十四節気でいう「立冬」になり暦の上では冬となった。日本列島は縦に長いし、気候も変わってきているのだから、二十四節気に正確性を求めるのは酷かもしれない。10月から11月になって、11月らしくない気候でも11月に変わりないのだから、今はやはり冬なのだろう。小雪、大雪、冬至と進むので少しずつ、否が応でも冬を感じることになる。

東京新聞の11月11日のコラム、筆洗で島崎藤村の「3人の訪問者」という作品について触れていた。なんでも主人公に「冬」が訪ねてくるらしい。その後に「貧」と「老」も訪ねてくる。私は寒いのが苦手なので冬のイメージは悪い。貧しいことも老いることも人間にとっては暗いイメージばかりだ。

けど、この話で語られるように、それぞれ悪いことばかりではなく良いこともある。よくよく考えてみると私は冬の雑木林の葉を落とした寒々とした景色に美しさを感じていた。そして目をこらせば彼らは春に向けてしっかり準備している。貧しいことだって物にあふれた豊かさよりどれだけ清冽とした生き方か。老いることも様々な経験や知識は若さには代えがたいものだ。4人目の訪問者は「死」。これはどうだろう。すべてが終わってしまうのが死なのだけど、あまりネガティブに考え、怖がる必要もないのかもしれない。

「三人の訪問者」 島崎藤村 青空文庫
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